吐き気を伴う頭痛の原因とは？緊急性を要する症状の見分け方も解説

突然の頭痛と吐き気に襲われると、何が原因なのか不安になりますよね。このページでは、吐き気を伴う頭痛の様々な原因を分かりやすく解説します。緊張型頭痛や片頭痛といった一般的なものから、くも膜下出血などの緊急性を要する病気まで、それぞれの症状の特徴や見分け方を知ることができます。また、家庭でできる対処法や、専門家への相談が必要なケースについても詳しく説明していますので、適切な対応を取るための判断材料として役立てていただけます。頭痛と吐き気の原因を理解し、適切な対処と予防法を知ることで、辛い症状から解放され、より健康的な毎日を送るための一助となるでしょう。

1. 吐き気を伴う頭痛の主な原因

吐き気を伴う頭痛は、様々な原因で起こり得ます。比較的よくある原因から深刻な原因まで、いくつか見ていきましょう。

1.1 緊張型頭痛

緊張型頭痛は、最も一般的な頭痛のタイプです。頭全体を締め付けるような痛み、肩や首のこり、吐き気を伴うことがあります。精神的なストレス、身体的な疲労、長時間のデスクワークなどが原因として考えられます。痛みの強さは mild から moderate で、持続時間は30分から数日間と様々です。

1.2 片頭痛

片頭痛は、頭の片側、もしくは両側にズキズキとした拍動性の痛みを生じるのが特徴です。吐き気や嘔吐、光や音過敏、めまいなどを伴う場合が多く、日常生活に支障をきたすこともあります。片頭痛の誘因は様々で、ストレス、睡眠不足、気候の変化、特定の食品などが挙げられます。

1.3 群発頭痛

群発頭痛は、片側の目の奥に激しい痛みを感じるのが特徴です。痛みは数分から数時間続き、1日に数回起こることもあります。目の充血、涙、鼻水、鼻づまりなどの症状を伴うこともあります。群発頭痛は男性に多く、原因は不明ですが、血管の拡張が関わっていると考えられています。

1.4 副鼻腔炎

副鼻腔炎は、鼻の奥にある副鼻腔に炎症が起こる病気です。鼻づまり、鼻水、顔面の痛み、頭痛、吐き気を伴うことがあります。細菌やウイルス感染が原因となることが多く、アレルギーが関与している場合もあります。

1.5 脱水症状

脱水症状は、体内の水分が不足した状態です。頭痛、吐き気、めまい、倦怠感などの症状が現れます。暑い環境での激しい運動や、十分な水分補給をせずに過ごすことで起こりやすく、特に高齢者や乳幼児は注意が必要です。

1.6 低血糖

低血糖は、血液中のブドウ糖の濃度が低下した状態です。頭痛、吐き気、空腹感、冷や汗、動悸などの症状が現れます。糖尿病の治療薬の過剰摂取や、食事を抜いたり、激しい運動をした後に起こりやすいです。

1.7 カフェイン離脱

カフェインを常用している人が急に摂取を中止すると、頭痛、吐き気、倦怠感、集中力の低下などの離脱症状が現れることがあります。カフェインを含む飲料や食品を日常的に摂取している方は、摂取量を徐々に減らすようにしましょう。

1.8 薬の副作用

服用している薬の副作用として、頭痛や吐き気が現れることがあります。特に、高血圧の薬や抗がん剤などの中には、頭痛や吐き気を引き起こすものがあります。気になる症状があれば、医師や薬剤師に相談しましょう。

1.9 新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症でも、頭痛や吐き気を含む様々な症状が現れることがあります。発熱、咳、倦怠感、味覚や嗅覚の異常などもみられる場合があり、疑わしい場合は医療機関に相談しましょう。

2. 緊急性を要する頭痛と吐き気の症状

吐き気を伴う頭痛の中には、命に関わる危険な病気が潜んでいる場合があります。一刻を争う事態を防ぐためにも、緊急性の高い症状について理解しておくことが重要です。

2.1 くも膜下出血

2.1.1 くも膜下出血の症状と対処法

くも膜下出血は、脳の表面にある血管が破れて出血する病気です。突然の激しい頭痛が特徴で、バットで殴られたような痛みと表現されることもあります。吐き気や嘔吐を伴うことが多く、意識消失や痙攣が起こる場合もあります。その他、首の痛みやこわばり、光過敏、目の痛みなども見られます。

くも膜下出血は一刻を争う病気です。疑わしい症状が現れたら、すぐに救急車を呼びましょう。

2.2 髄膜炎

2.2.1 髄膜炎の症状と対処法

髄膜炎は、脳と脊髄を覆う髄膜に炎症が起こる病気です。細菌やウイルス感染によって引き起こされます。高熱、頭痛、吐き気の他に、首の痛みやこわばり、光過敏、意識障害などの症状が現れます。乳幼児の場合は、ぐったりしている、ミルクを飲まない、機嫌が悪いなどの症状が見られることもあります。

髄膜炎も迅速な治療が必要な病気です。疑わしい症状が現れたら、すぐに救急車を呼びましょう。

2.3 脳腫瘍

2.3.1 脳腫瘍の症状と対処法

脳腫瘍は、脳にできる腫瘍です。良性と悪性があり、症状は腫瘍の種類や発生部位によって異なります。頭痛、吐き気、嘔吐は一般的な症状ですが、その他、視力障害、言語障害、麻痺、けいれん、性格変化、意識障害なども起こることがあります。これらの症状は徐々に進行することが多く、初期段階では自覚症状がない場合もあります。

脳腫瘍は早期発見・早期治療が重要です。気になる症状がある場合は、早めに専門機関を受診しましょう。

3. 頭痛と吐き気を伴うその他の病気

頭痛と吐き気を伴う病気は、ご紹介した以外にもいくつかあります。緊急性の高い病気の可能性も否定できないため、症状が続く場合は医療機関への受診をおすすめします。ここでは、代表的な例をいくつかご紹介します。

3.1 緑内障

緑内障は、眼圧の上昇などにより視神経が障害され、視野が狭くなる病気です。急性緑内障発作の場合、突然の激しい目の痛み、頭痛、吐き気、視力低下などが起こります。放置すると失明に至る可能性もあるため、迅速な対応が必要です。

3.2 胃腸炎

胃腸炎は、ウイルスや細菌などによって胃腸に炎症が起こる病気です。腹痛、下痢、嘔吐に加え、発熱や頭痛、吐き気を伴うこともあります。脱水症状に注意が必要です。十分な水分と電解質を摂取し、安静にしましょう。

3.3 妊娠

妊娠初期には、つわりによって頭痛や吐き気を経験する妊婦さんが多くいます。ホルモンバランスの変化や、血糖値の低下などが原因と考えられています。通常は一時的な症状ですが、症状が重い場合や長引く場合は医師に相談しましょう。妊娠後期に突然の激しい頭痛や吐き気、腹痛などが現れた場合は、妊娠高血圧症候群などの可能性も考えられます。早急に医療機関を受診することが重要です。

3.4 メニエール病

メニエール病は、内耳のリンパ液のバランスが崩れることで、めまい、耳鳴り、難聴などの症状が現れる病気です。回転性のめまい発作に加え、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。めまい発作中は安静にし、症状が続く場合は医療機関を受診しましょう。

3.5 副腎不全

副腎不全は、副腎から分泌されるホルモンが不足する病気です。慢性的な疲労感、倦怠感、食欲不振、体重減少などの症状に加え、低血圧、吐き気、頭痛などが現れることもあります。副腎クリーゼと呼ばれる急性の副腎不全発作では、意識障害やショック状態に陥ることもあるため、迅速な治療が必要です。

3.6 心因性

強いストレスや不安、緊張などによって、頭痛や吐き気が引き起こされることがあります。身体的な異常が見つからない場合でも、心因性の原因が隠れている可能性があります。ストレスを軽減するための工夫や、必要に応じて心療内科への相談も検討しましょう。

3.7 薬物乱用

特定の薬物の乱用によって、頭痛や吐き気を引き起こすことがあります。薬物乱用は深刻な健康被害をもたらす可能性があるため、早期に専門機関への相談と適切な治療が必要です。

上記以外にも様々な病気が頭痛と吐き気を引き起こす可能性があります。自己判断せず、医療機関を受診し適切な診断と治療を受けることが大切です。

4. 頭痛と吐き気の対処法

頭痛と吐き気が同時に起こると、とてもつらいものです。症状を少しでも和らげるために、家庭でできる対処法と市販薬、そして医療機関への受診について解説します。

4.1 市販薬

ドラッグストアなどで購入できる市販薬の中には、頭痛と吐き気に効果的なものがあります。アセトアミノフェンは、痛みと熱を下げる効果があり、比較的副作用が少ないため、多くの市販薬に含まれています。イブプロフェンやロキソプロフェンナトリウムなどの非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）は、痛みや炎症を抑える効果があります。吐き気が強い場合は、メトクロプラミドなどの制吐剤を含む市販薬も有効です。ただし、市販薬を使用する際は、用法・用量を守り、持病がある方や妊娠中の方は、事前に医師や薬剤師に相談しましょう。

市販薬の選び方で迷う方もいるでしょう。それぞれの薬の効果と副作用をよく理解し、自分の症状に合った薬を選ぶことが大切です。例えば、胃腸が弱い方は、胃への負担が少ないアセトアミノフェンを選ぶと良いでしょう。また、持病がある方は、薬の飲み合わせに注意が必要です。

4.2 家庭でできる対処法

家庭でもできる簡単な対処法で、頭痛と吐き気を和らげることができます。

4.2.1 冷却

冷やすことで血管が収縮し、痛みを軽減する効果が期待できます。氷嚢や保冷剤をタオルで包み、額やこめかみに当てて冷やしましょう。ただし、冷やしすぎると逆効果になる場合があるので、15分程度を目安にしましょう。

4.2.2 水分補給

脱水症状によって頭痛や吐き気が悪化することがあります。常温の水やスポーツドリンクなどで、こまめに水分を補給しましょう。冷たい飲み物は胃腸を刺激する可能性があるので、避けた方が良いでしょう。カフェインを含む飲み物は利尿作用があるため、脱水を悪化させる可能性があります。

4.2.3 安静

静かな場所で横になり、体を休めることで、症状が和らぐことがあります。暗い部屋で目を閉じ、リラックスするように心がけましょう。周りの音を遮断するために、耳栓を使用するのも効果的です。

4.3 病院を受診すべき場合

下記のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

これらの症状は、緊急性を要する病気が隠れている可能性があります。自己判断せずに、速やかに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが重要です。

5. 頭痛と吐き気を予防するには

頭痛と吐き気を予防するために、生活習慣の見直しやトリガーの特定と回避、ストレスマネジメントなど、様々なアプローチが有効です。日々の生活の中で実践できる予防策を詳しく見ていきましょう。

5.1 生活習慣の改善

規則正しい生活習慣は、頭痛と吐き気を予防する上で非常に重要です。睡眠不足や不規則な食事、運動不足は、頭痛の誘因となることがあります。以下の点に注意して生活習慣を改善しましょう。

5.1.1 睡眠

毎日同じ時間に寝起きし、十分な睡眠時間を確保することで、体内時計が整い、自律神経のバランスも安定します。成人は7～8時間の睡眠を目安に、質の高い睡眠を心がけましょう。寝る前にカフェインを摂取したり、スマートフォンやパソコンの画面を長時間見たりすることは避け、リラックスできる環境を整えることが大切です。

5.1.2 食事

バランスの良い食事を規則正しく摂ることは、健康維持の基本であり、頭痛の予防にも繋がります。特に、朝食を抜くと低血糖を引き起こし、頭痛や吐き気を誘発する可能性があります。また、マグネシウムやビタミンB2などの栄養素は頭痛の予防に効果的と言われているため、これらの栄養素を多く含む食品を積極的に摂取しましょう。例えば、マグネシウムはアーモンドやひじき、ほうれん草などに、ビタミンB2はレバーや牛乳、卵などに多く含まれています。

5.1.3 運動

適度な運動は、ストレス軽減や血行促進に効果的で、頭痛の予防にも役立ちます。ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす習慣を身につけましょう。ただし、激しい運動は逆に頭痛を誘発する可能性があるため、自分の体調に合わせて適切な運動量を心がけることが重要です。

5.1.4 水分補給

脱水症状は頭痛の大きな原因の一つです。こまめな水分補給を心がけ、脱水症状を防ぎましょう。特に、夏場や運動後などは意識的に水分を摂ることが重要です。また、アルコールは利尿作用があるため、飲酒時には同時に水分補給を行うようにしましょう。カフェインの摂り過ぎにも注意が必要です。

5.2 ストレス管理

ストレスは、緊張型頭痛や片頭痛の大きな誘因となります。ストレスを効果的に管理することで、頭痛と吐き気を予防することができます。

5.2.1 リラックス

自分なりのリラックス方法を見つけることが重要です。入浴や読書、音楽鑑賞、アロマテラピーなど、自分がリラックスできる方法で心身を休ませましょう。瞑想や深呼吸も効果的なリフレッシュ方法です。

5.2.2 趣味

趣味に没頭する時間を持つことで、ストレスを発散することができます。好きなことに集中することで、心身のリフレッシュを図りましょう。

5.3 トリガーの特定と回避

頭痛の引き金となるトリガーを特定し、それを回避することで頭痛の発症を予防することができます。主なトリガーには、特定の食べ物や飲み物、匂い、光、音、気候の変化、寝不足、ストレスなどがあります。

5.3.1 記録

頭痛が起きた日時、症状、その日の食事や行動などを記録することで、自分のトリガーを特定しやすくなります。頭痛ダイアリーをつけるなどして、自分の頭痛のパターンを把握しましょう。

これらの予防策を実践することで、頭痛と吐き気の発生頻度を減らし、快適な生活を送る助けとなるでしょう。しかし、予防策を試しても改善が見られない場合や、激しい頭痛や吐き気が続く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

6. まとめ

吐き気を伴う頭痛は、緊張型頭痛や片頭痛、群発頭痛といった比較的よくあるものから、くも膜下出血や髄膜炎といった命に関わる危険な病気まで、様々な原因が考えられます。この記事では、吐き気を伴う頭痛の主な原因と、それぞれの症状、緊急性の高い症状の見分け方、そして対処法について解説しました。

頭痛と吐き気が同時に起こった場合、まずその原因を探ることが重要です。症状が軽い場合は、市販薬や冷却、水分補給、安静などの家庭でできる対処法を試してみましょう。ただし、激しい頭痛や高熱、意識障害、麻痺などの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。特に、今まで経験したことのないような激しい頭痛が突然起こった場合は、くも膜下出血の可能性もあるため、一刻も早く救急車を呼ぶ必要があります。

日常生活においては、十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動などの生活習慣の改善やストレス管理を心がけることで、頭痛を予防することができます。また、頭痛の引き金となる特定の食べ物や環境などを把握し、それらを避けることも効果的です。自分の体と向き合い、適切な対処と予防を心がけましょう。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。