五十肩は両肩になることも!その原因と治し方、予防法まで

「五十肩って両肩にもなるの?」「原因は何だろう?」と不安を抱えていませんか? 五十肩は、片側の肩に発症することが多いものの、両肩に同時に、あるいは片側が治った後に反対側の肩にも発症するケースがあります。 この記事では、五十肩の基本的な知識から、両肩に発症する原因、効果的な治し方、そして予防法までを網羅的に解説します。五十肩の症状や経過、四十肩・六十肩との違いについても詳しく説明することで、ご自身の状態を理解し、適切な対処法を見つけることができます。さらに、日常生活での注意点や、両肩同時発症への具体的な対処法もご紹介。この記事を読めば、五十肩の不安を解消し、健康な肩を取り戻すための具体的な方法が分かります。適切な知識を身につけて、一日も早く痛みから解放されましょう。

1. 五十肩とは何か

五十肩は、正式には肩関節周囲炎と呼ばれ、肩関節とその周囲の組織に炎症や痛み、運動制限が生じる疾患です。中年以降に発症することが多く、40代で発症する場合は四十肩、60代で発症する場合は六十肩とも呼ばれますが、医学的にはいずれも肩関節周囲炎です。原因は完全には解明されていませんが、加齢による肩関節周囲の組織の変性や炎症、生活習慣、姿勢、外傷などが関係していると考えられています。

1.1 五十肩の症状

五十肩の主な症状は、肩の痛みと運動制限です。痛みは、安静時にも感じられる鈍痛や、腕を動かしたときの鋭い痛みなど、様々です。特に、夜間や朝方に痛みが強くなる傾向があります。運動制限は、腕を上げたり、回したり、後ろに回したりする動作が難しくなることで、日常生活にも支障をきたすことがあります。具体的には、髪を結んだり、服を着替えたり、高いところの物を取ったりする動作が困難になります。

五十肩の症状は、炎症の程度や部位、個々の体質などによって大きく異なります。以下に具体的な症状を挙げます。

  • 安静時の痛み:特に夜間や朝方に痛みが増強することがあります。
  • 運動時の痛み:腕を特定の方向に動かすと鋭い痛みを感じます。
  • 運動制限:腕を上げること、回すこと、後ろに回すことなどが難しくなります。日常生活動作(着替え、髪を洗う、高いところの物を取るなど)に支障が出ます。
  • 肩のこわばり:肩関節が硬く感じられ、スムーズに動かせません。
  • 腫れや熱感:炎症が強い場合、肩関節が腫れたり、熱を持ったりすることがあります。
  • 腕のしびれ:肩関節周囲の神経が圧迫されることで、腕にしびれが生じることがあります。

1.2 五十肩の経過

五十肩の経過は、一般的に急性期、慢性期、回復期の3つの段階に分けられます。

時期期間症状
急性期発症から約2週間~3ヶ月強い痛みと炎症が特徴です。少し動かしただけでも激痛が走り、夜間痛も顕著です。肩関節の運動制限も著しく、日常生活に大きな支障をきたします。
慢性期約3ヶ月~6ヶ月痛みは急性期に比べると軽減しますが、肩関節の運動制限は依然として残ります。肩のこわばりや動かしにくさが続き、日常生活での不便さが続きます。
回復期約6ヶ月~2年痛みと運動制限が徐々に改善していきます。肩の可動域が広がり、日常生活動作もスムーズに行えるようになってきます。ただし、完全に元の状態に戻るまでには時間を要する場合もあります。

五十肩は自然治癒する疾患ですが、回復期までには半年から2年程度の期間を要することがあります。適切な治療とリハビリテーションを行うことで、痛みを軽減し、回復期間を短縮することができます。

1.3 五十肩と四十肩、六十肩の違い

四十肩、五十肩、六十肩は、発症年齢が異なるだけで、医学的には全て同じ「肩関節周囲炎」です。症状や経過もほぼ同じで、特別な違いはありません。これらの呼び名は、発症しやすい年齢層を表しているに過ぎません

2. 五十肩は両肩になる原因

五十肩は片側の肩に発症することが多いですが、両肩に同時に、あるいは片側が治癒した後に反対側の肩にも発症することがあります。なぜ五十肩が両肩になるのか、その原因を詳しく見ていきましょう。

2.1 加齢による変化

五十肩は、その名前が示す通り50歳前後で発症することが多いですが、40代や60代でも発症する可能性があります。加齢に伴い、肩関節周囲の組織は柔軟性を失い、炎症を起こしやすくなります。特に、肩関節を構成する腱板という組織は、加齢とともに劣化しやすく、断裂のリスクも高まります。これが五十肩発症の大きな要因の一つです。

2.2 肩関節周囲の組織の炎症

肩関節周囲の組織、特に腱板や滑液包などに炎症が起こると、肩の痛みや動きの制限が生じます。炎症の原因は、加齢変化の他に、使い過ぎや過度な運動、外傷、姿勢不良などが挙げられます。これらの要因が重なることで、両肩に炎症が起き、五十肩を発症する可能性が高まります。

2.3 生活習慣や姿勢

日常生活における姿勢の悪さや、デスクワークなど長時間同じ姿勢を続けることも、五十肩の原因となります。猫背や巻き肩などの姿勢は、肩関節周囲の筋肉や腱に負担をかけ、血行不良を招き、炎症を引き起こしやすくなります。また、運動不足も肩関節周囲の筋肉を弱らせ、五十肩のリスクを高めます。反対に、過度な運動やトレーニングも肩への負担となり、炎症の原因となることがあります。

2.4 ホルモンバランスの変化

特に女性は、更年期を迎えるとエストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンには、骨や関節の健康を維持する働きがあるため、その減少は肩関節周囲の組織の脆弱化につながり、五十肩を発症しやすくする可能性があります。

2.5 遺伝的要因

五十肩の発症には遺伝的な要因も関わっていると考えられています。家族に五十肩を経験した人がいる場合、自身も発症するリスクが高まる可能性があります。ただし、遺伝的要因だけで発症が決まるわけではなく、生活習慣や他の要因も複雑に絡み合っていると考えられます。

2.6 外傷やケガ

肩関節への直接的な外傷やケガ、例えば転倒やスポーツ中の事故などが原因で、五十肩を発症することもあります。骨折や脱臼などの大きなケガだけでなく、軽微なケガでも、肩関節周囲の組織に炎症や損傷を引き起こし、五十肩につながる可能性があります。

原因詳細
加齢による変化腱板の劣化、柔軟性の低下
肩関節周囲の組織の炎症腱板炎、滑液包炎など
生活習慣や姿勢猫背、巻き肩、運動不足、過度な運動
ホルモンバランスの変化更年期によるエストロゲン減少
遺伝的要因家族歴
外傷やケガ転倒、スポーツ中の事故など

これらの要因が単独または複数組み合わさって、五十肩は両肩に発症することがあります。特に、日常生活における姿勢や運動習慣は、両肩への負担に大きく影響するため、注意が必要です。

3. 五十肩の診断方法

五十肩の診断は、基本的に問診、身体診察、そして必要に応じて画像検査によって行われます。確定診断のための特別な検査はなく、他の疾患の可能性を除外しながら、症状や診察所見から総合的に判断されます。

3.1 問診

医師はまず、患者さんの症状について詳しく聞き取ります。具体的には、いつから痛み始めたのか、どのような時に痛みが増強するのか、痛みの程度はどのくらいか、日常生活にどのような支障が出ているのかなどを質問します。他に肩や腕に痺れがあるか、既往歴や現在の服薬状況なども重要な情報となります。

3.2 身体診察

問診の後、医師は実際に肩を動かしたり、触診したりして身体診察を行います。五十肩の特徴的な症状である肩関節の動きが悪くなっているか(拘縮)、特定の方向への動きで痛みが誘発されるかなどを確認します。主な検査は以下の通りです。

3.2.1 可動域検査

肩関節を様々な方向に動かして、動きの範囲や痛み、引っかかりなどを確認します。五十肩では、腕を上げる(外転)、外側に捻る(外旋)、内側に捻る(内旋)などの動作が制限されることが多いです。

3.2.2 疼痛誘発テスト

特定の動作によって痛みを誘発することで、五十肩かどうかを判断するテストです。代表的なものとして、ペインフルアークサイン、Apleyテスト、Neer impingement testなどがあります。

テスト名方法陽性の場合
ペインフルアークサイン腕を横に上げていく動作60度~120度の範囲で痛みが出現
Apleyテスト背中に手を回して肩甲骨に触れる動作痛みや動きの制限
Neer impingement test腕を内旋させながら前方へ挙上する動作肩峰下腔での挟み込みによる痛み

3.2.3 筋力検査

肩周りの筋肉の力も確認します。五十肩では、痛みによって筋肉が弱くなっている場合もあります。

3.3 画像検査

五十肩の診断は、問診と身体診察が中心となりますが、他の疾患との鑑別や症状の確認のために、画像検査を行うこともあります。主な画像検査には、レントゲン検査、MRI検査、超音波検査などがあります。

3.3.1 レントゲン検査

骨の状態を確認するために用いられます。五十肩自体ではレントゲンに異常は認められないことが多いですが、骨折や骨棘、石灰沈着性腱板炎などの他の疾患を除外するために重要です。特に、外傷後に肩の痛みが生じた場合は、骨折の有無を確認するためにレントゲン検査が必須となります。

3.3.2 MRI検査

レントゲン検査ではわからない腱板断裂や腱板炎、関節唇損傷などの軟部組織の異常を詳しく調べることができます。五十肩に伴ってこれらの病気が合併している場合もあるため、痛みが強い場合や治療に反応しない場合などにMRI検査が実施されることがあります。

3.3.3 超音波検査

リアルタイムで肩関節の動きや炎症の状態を確認できる検査です。腱板断裂や滑液包炎などの診断に役立ちます。レントゲンやMRIに比べて手軽に検査できるというメリットがあります。

これらの検査結果を総合的に判断し、五十肩の診断を確定します。五十肩は自然に治癒する傾向がある病気ですが、適切な治療を行うことで、痛みを軽減し、肩関節の機能を回復させることができます。自己判断せずに、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

4. 五十肩の治し方

五十肩の治療法は、大きく分けて保存療法と手術療法の2種類があります。ほとんどの五十肩は保存療法で改善しますが、症状が重い場合や保存療法で効果がない場合は手術療法が検討されます。

4.1 保存療法

保存療法は、痛みを軽減し、肩関節の動きを改善することを目的とした治療法です。具体的には、以下の方法があります。

4.1.1 痛み止め薬の使用

痛みや炎症を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの痛み止め薬が使用されます。ロキソニンやボルタレンなどが代表的な薬です。内服薬だけでなく、湿布薬や塗り薬も効果的です。痛みが強い場合は、医師の判断でより強い鎮痛薬が処方されることもあります。

4.1.2 注射

痛みや炎症が強い場合には、肩関節内にステロイド注射を行うことがあります。ステロイド注射は炎症を抑える効果が高いですが、複数回繰り返すと副作用のリスクが高まるため、使用頻度には注意が必要です。また、ヒアルロン酸注射も有効とされており、関節の動きを滑らかにする効果が期待できます。

4.1.3 リハビリテーション

五十肩の治療において最も重要なのがリハビリテーションです。肩関節の可動域を広げ、筋力を取り戻すことで、日常生活での支障を軽減します。理学療法士の指導のもと、ストレッチや筋力トレーニングなどの適切な運動療法を行います。無理に動かすと症状が悪化することがあるため、痛みのない範囲で徐々に運動量を増やしていくことが大切です。

4.1.4 温熱療法

温熱療法は、肩関節周囲の血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。ホットパックや温湿布、入浴などで患部を温めることで、痛みを緩和することができます。ただし、炎症が強い急性期には、温熱療法は逆効果となる場合があるので注意が必要です。

4.1.5 運動療法

五十肩の運動療法は、痛みを悪化させないように、痛みを感じない範囲でゆっくりと行うことが重要です。代表的な運動療法には、振り子運動、コッドマン体操、壁登り運動などがあります。これらの運動は、肩関節の可動域を広げる効果があります。また、ゴムチューブを使った筋力トレーニングも効果的です。下記の表に具体的な運動療法の例と注意点、期待できる効果をまとめました。

運動療法方法注意点期待できる効果
振り子運動体を前かがみにし、リラックスした状態で腕を振り子のように前後に、左右に、円を描くように動かす。痛みを感じない範囲で行う。肩関節の可動域を広げる。
コッドマン体操体を前かがみにし、腕をだらりと下げた状態で、肩甲骨を意識して腕を前後に、左右に、円を描くように動かす。痛みを感じない範囲で行う。肩関節の可動域を広げ、肩周りの筋肉をほぐす。
壁登り運動壁に指を這わせるようにして、徐々に腕を上げていく。痛みを感じない範囲で行う。無理に腕を上げない。肩関節の可動域を広げる。
ゴムチューブを使った筋力トレーニングゴムチューブを用いて、肩関節周囲の筋肉を鍛える。適切な負荷で、正しいフォームで行う。肩関節周囲の筋力を強化する。

4.2 手術療法

保存療法で効果がない場合や、関節が拘縮して日常生活に支障が出ている場合は、手術療法が検討されます。手術療法には、関節鏡視下手術や人工関節置換術などがあります。関節鏡視下手術は、小さな切開で関節内の癒着を剥離する手術で、身体への負担が少ないのが特徴です。人工関節置換術は、損傷した関節を人工関節に置き換える手術で、重度の五十肩に有効です。

いずれの治療法を選択するかは、患者の症状や年齢、生活習慣などを考慮して医師が判断します。五十肩は自然治癒することもありますが、適切な治療を行うことで、より早く症状を改善し、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。自己判断で治療を行うと症状が悪化することがあるため、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従うようにしましょう。

5. 五十肩の両肩同時発症

五十肩は片側の肩に発症することが一般的ですが、両肩に同時に発症することもあります。この記事では、両肩同時発症の五十肩について詳しく解説します。

5.1 両肩の五十肩は珍しい?

五十肩は、一般的には片側の肩に発症することが多いです。統計的には、五十肩を発症する人のうち、両肩に同時に発症する人は約10~20%程度と言われています。つまり、両肩同時発症は比較的稀なケースと言えるでしょう。しかし、決してあり得ないことではなく、実際に両肩に五十肩を発症して苦しんでいる人はいます。片側だけの発症と比べて、日常生活への影響が大きいため、より深刻な問題となる可能性があります。

5.2 両肩同時発症の原因

両肩の五十肩の同時発症の明確な原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、片側だけの五十肩と同様に、加齢、肩関節周囲の組織の炎症、生活習慣や姿勢、ホルモンバランスの変化、遺伝的要因、外傷やケガなどが関係していると考えられています。これらの要因が複合的に作用して、両肩に同時に五十肩を発症すると考えられています。特に加齢による肩関節周囲の組織の老化や、長年の姿勢の悪さなどが、両肩同時発症のリスクを高める可能性があります。また、糖尿病や甲状腺機能低下症などの内科的疾患も、五十肩のリスクを高めることが知られています。これらの疾患を患っている人は、五十肩が両肩に同時に発症する可能性が高くなる可能性があるため、注意が必要です。

要因詳細
加齢肩関節周囲の組織の老化により、炎症や損傷が起こりやすくなる。
肩関節周囲の組織の炎症腱板炎や滑液包炎などが原因となる。
生活習慣や姿勢猫背やデスクワークなど、肩に負担がかかる姿勢を長時間続けることで、肩関節周囲の組織に炎症が起こりやすくなる。
ホルモンバランスの変化更年期障害などで女性ホルモンが減少すると、肩関節周囲の組織が弱くなり、炎症が起こりやすくなる。
遺伝的要因家族に五十肩の人がいる場合、発症リスクが高くなる。
外傷やケガ転倒やスポーツなどで肩を痛めたことが原因となる場合もある。
内科的疾患糖尿病や甲状腺機能低下症などは五十肩のリスクを高める。

5.3 両肩の五十肩の対処法

両肩の五十肩を発症した場合、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。そのため、早期に適切な治療を開始することが重要です。基本的には片側の場合と同様に、保存療法が中心となります。痛みを和らげるために、痛み止め薬の内服や湿布の使用、注射による治療が行われます。また、肩関節の動きを改善するために、理学療法士によるリハビリテーションや、自宅での運動療法、ストレッチなども有効です。日常生活では、痛みを悪化させない動作を心がけ、無理に肩を動かさないようにしましょう。衣服の着脱や入浴、睡眠時の姿勢などにも注意が必要です。症状が重い場合や、保存療法で効果が見られない場合は、手術療法を検討することもあります。ただし、手術は最終手段であり、慎重に判断する必要があります。両肩の五十肩は、日常生活への影響が大きいため、医師と相談しながら、適切な治療方法を選択することが大切です。痛みや症状の変化に注意し、日常生活の工夫も取り入れながら、治療を進めていきましょう。

6. 五十肩の予防法

五十肩は発症してしまうと、日常生活に支障をきたすほどの痛みや運動制限を引き起こす可能性があります。しかし、適切な予防策を講じることで、発症リスクを低減したり、症状の悪化を抑制したりすることが期待できます。日頃から意識して生活に取り入れ、健康な肩関節を維持しましょう。

6.1 適度な運動

肩関節周囲の筋肉を強化し、柔軟性を高めることで、五十肩の予防につながります。激しい運動は必要ありません。ウォーキングや水泳など、無理なく続けられる有酸素運動に加え、肩甲骨を動かす体操やストレッチを定期的に行うようにしましょう。毎日継続することが重要です。

6.1.1 おすすめの運動

  • ラジオ体操
  • ウォーキング
  • 水泳
  • ヨガ
  • ピラティス

これらの運動は、肩関節への負担が少ないため、安全に行うことができます。痛みを感じない範囲で行うように注意しましょう。

6.2 ストレッチ

肩関節の柔軟性を維持・向上させることは、五十肩の予防に非常に効果的です。肩甲骨を意識的に動かすストレッチや、腕を大きく回すストレッチなど、様々な種類のストレッチがあります。就寝前や起床後など、毎日決まった時間に行うことで習慣化しやすくなります。

6.2.1 おすすめのストレッチ

  • 肩甲骨回し
  • 腕の振り回し
  • タオルを使ったストレッチ
  • 壁を使ったストレッチ

これらのストレッチは、動画サイトなどを参考に、正しいフォームで行うようにしましょう。誤ったフォームで行うと、逆に肩を痛めてしまう可能性があります。

6.3 正しい姿勢

猫背や巻き肩などの悪い姿勢は、肩関節周囲の筋肉に負担をかけ、五十肩のリスクを高めます。デスクワークを行う際は、正しい姿勢を意識し、定期的に休憩を取るようにしましょう。パソコンのモニターの高さを調整したり、椅子に適切なクッションを使用したりすることも効果的です。

良い姿勢悪い姿勢
背筋を伸ばし、顎を引く猫背、巻き肩
肩の力を抜く肩に力が入っている
足の裏を床につける足を組む

6.4 バランスの良い食事

栄養バランスの取れた食事は、健康な身体を維持するために不可欠です。特に、カルシウムやビタミンD、タンパク質は、骨や筋肉の健康に重要な役割を果たします。これらの栄養素を積極的に摂取することで、五十肩の予防に繋がります。また、過度な飲酒や喫煙は、血行不良を引き起こし、五十肩のリスクを高めるため、控えるようにしましょう。

6.5 質の良い睡眠

睡眠不足は、身体の回復力を低下させ、様々な疾患のリスクを高めます。五十肩も例外ではありません。質の良い睡眠を十分に取ることで、肩関節周囲の筋肉や組織の修復を促し、五十肩の予防に繋がります。寝る前にカフェインを摂取したり、寝る直前までスマートフォンを操作したりすることは避け、リラックスした状態で就寝するようにしましょう。

7. 日常生活での注意点

五十肩の痛みを悪化させないためには、日常生活での動作や習慣に気を配ることが重要です。少しの工夫で症状の悪化を防ぎ、回復を早めることに繋がります。

7.1 痛みを悪化させない動作

日常生活の中で、何気なく行っている動作が五十肩の痛みを悪化させることがあります。特に、腕を上げる、後ろに回す、重いものを持ち上げるといった動作は、肩関節に負担をかけるため注意が必要です。痛みを感じたら無理せず動作を中断し、安静にすることが大切です。また、急に腕を引っ張られるような動作も避けましょう。

具体的には、以下のような動作に注意が必要です。

動作注意点
洗濯物を干す洗濯物を干す際は、肩よりも高い位置に腕を上げないように注意しましょう。洗濯竿の位置を低くしたり、踏み台を使ったりすることで、肩への負担を軽減できます。また、一度にたくさんの洗濯物を干そうとせず、少量ずつ干すようにしましょう。
高いところの物を取る高いところの物を取る際は、無理に手を伸ばさないように注意しましょう。脚立や踏み台を使用する、家族に頼むなどして、肩への負担を軽減しましょう。
重いものを持ち上げる重いものを持ち上げる際は、両手で持ち上げる、抱えるように持つなど、肩への負担を軽減する方法を工夫しましょう。リュックサックを使用するのも良いでしょう。どうしても重いものを持ち上げなければならない場合は、誰かに手伝ってもらうようにしましょう。
運転長時間の運転は、肩関節に負担をかけるため、休憩を挟む、シートの位置を調整するなど工夫しましょう。ハンドルを強く握りすぎないように注意し、リラックスした姿勢で運転することも大切です。

7.2 衣服の着脱

五十肩になると、衣服の着脱も困難になることがあります。特に、腕を後ろに回す動作や、頭上に上げる動作は痛みを伴うため、工夫が必要です。前開きの服を選ぶ、着脱しやすい素材の服を選ぶ、着替えに補助具を使用するなど、工夫してみましょう。

7.2.1 シャツの着脱

シャツを着る際は、患側の腕から袖を通し、次に健側の腕を通すようにすると、肩への負担を軽減できます。脱ぐ際は、健側の腕から袖を抜くようにしましょう。

7.2.2 下着の着脱

下着も、前開きのものや、伸縮性のある素材のものを選ぶと着脱しやすくなります。ブラジャーの場合は、フロントホックのタイプがおすすめです。

7.3 入浴

入浴は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があるため、五十肩の症状緩和に役立ちます。しかし、痛みがある場合は、無理に入浴せず、シャワーで済ませるようにしましょう。入浴する際は、湯温をぬるめに設定し、長湯は避けましょう。また、石鹸を泡立てる、髪を洗うといった動作も、肩に負担をかけるため、注意が必要です。入浴補助具を使用するのも良いでしょう。

7.4 睡眠時の姿勢

睡眠時の姿勢も、五十肩の痛みに影響を与えます。患側を下にして寝ると、肩関節への圧迫が強くなり、痛みが増すことがあるため、仰向けで寝る、もしくは健側を下にして寝るようにしましょう。抱き枕やタオルなどを患部の下に敷くと、肩関節への負担を軽減し、痛みを和らげることができます。また、寝具は柔らかすぎず、硬すぎないものを選ぶことが大切です。敷布団は、体圧分散性に優れたものがおすすめです。枕は、高すぎず低すぎないものを選び、首や肩に負担がかからないようにしましょう。自分に合った寝具を選ぶことで、質の良い睡眠をとることができ、五十肩の回復にも繋がります。

8. まとめ

五十肩は、中高年に多く発症する肩関節周囲炎です。本記事では、五十肩の原因、診断方法、治し方、予防法について解説しました。特に、両肩に五十肩が発症する原因についても詳しく説明しました。加齢や肩関節周囲の組織の炎症、生活習慣、ホルモンバランスの変化、遺伝的要因、外傷などが原因として挙げられます。五十肩は自然治癒することもありますが、適切な治療を行うことで痛みや可動域制限の改善が期待できます。保存療法として、痛み止め薬の使用、注射、リハビリテーション、温熱療法、運動療法などがあります。症状が重い場合や保存療法で効果がない場合は、手術療法が選択されることもあります。両肩同時発症は片側ずつ発症するケースより稀ですが、左右の肩に同様の負担がかかる生活習慣や、加齢による身体機能の低下などが原因で起こりえます。五十肩を予防するためには、適度な運動、ストレッチ、正しい姿勢を保つこと、バランスの良い食事、質の良い睡眠などが重要です。日常生活では、痛みを悪化させない動作を心がけ、衣服の着脱や入浴、睡眠時の姿勢にも注意を払いましょう。五十肩の症状に悩まされている方は、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。

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水田 順司整体院 海沙 院長
臨床経験26年。延べ4万人以上の施術実績。
【所有資格】
・理学療法士
・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー