
座っているだけで、腰が痛くなる
「長く座っていると、腰が痛くなる」「座っているのが、いちばんきつい」。そう話される方が、うちにも来られます。デスクワークの途中、長距離の運転のあと、家事のあいまに腰かけたとき。動いているわけでもないのに、腰が重く、だるく、痛くなってくる。立ち上がるときには、しばらく腰が伸びない。ひどいときには「座っているだけで痛い」「かがんで洗濯物を拾うのがつらい」という方もいます。そんな毎日に、心当たりはありませんか。
「座りすぎ」「姿勢が悪いから」だけでは説明がつかない
座って腰が痛いのは「座りすぎ」「姿勢が悪いから」。多くの方がそう考えます。だから背すじを伸ばし、姿勢に気をつける。それでも、しばらくするとまた痛くなる。「体幹を鍛えればいい」と、腹筋やウォーキングを続けても変わらない、という声も少なくありません。もし姿勢や筋力だけの問題なら、正しく座り直し、鍛えたその先で、また痛くなるのは説明がつきません。「座り方」だけでは、片づけられないことが多いのです。
腰が痛くても、原因は腰にないことがある
腰が痛いからといって、原因が腰の筋肉にあるとは限りません。体を動かしているのは神経です。その神経の伝わり方、自律神経のバランス、姿勢や骨盤の土台。ここが崩れていると、体を支える力がうまく働かず、じっと座っているだけで腰の一点に負担が集まります。私はよく、こうお伝えします。「腰が痛いからといって、原因が腰とは限らないんですよ。全身の神経のバランス、自律神経、姿勢、骨盤の動き、全部つながっているんです」。長く座ると痛いのは、腰が弱いからでも、座り方が悪いからでもありません。体を支える原因が、崩れているのかもしれません。
座っているあいだ、体の中で起きていること
座るという姿勢は、一見ラクに見えて、実は腰にとって負担の大きい姿勢です。立っているときは足や骨盤で体重を分散できますが、座ると上半身の重みが骨盤と腰の一点に集まりやすい。そこへ、同じ姿勢を長く続けることで、特定の筋肉や神経がずっと緊張したままになります。血のめぐりも滞り、疲れが抜けにくくなる。「疲れが溜まってくると痛くなる」「夕方になるほどつらい」という感覚は、こうして起きています。動いていないのに痛いのは、”動かなさすぎ”が体にこたえている、とも言えます。
なぜ、湿布や痛み止めでは楽にならないことがあるのか
「病院に行っても湿布を出されるだけ」「ロキソニンを飲んでも効かない」。そう話される方もいます。急性の痛みは、その場所の炎症が原因のことが多く、湿布や痛み止めが効きます。けれど、長く続く痛みは少し事情が違います。慢性化した痛みは、脳や神経が痛みを受け取る仕組みそのものがうまく働かなくなっている状態のことがあり、感情やストレス、睡眠の質まで関わってきます。神経の通り道のどこかで痛みを拾ってしまっていると、その場所に湿布を貼っても、追いつかないことがあるのです。「薬が効かない自分はおかしいのか」と思わなくて大丈夫です。効きにくい理由が、ちゃんとあります。
なぜ、マッサージでは戻ってしまうのか
こっている腰をマッサージでほぐすと、その場は軽くなります。けれど、腰を張らせている原因、つまり神経や自律神経、骨盤の土台は、揉んでも変わりません。同じ姿勢に戻れば、また張ってくる。「マッサージに行っても、しばらくしたらまた戻る」を繰り返す方が、いらっしゃいます。なかには「強くされて、かえって悪くなった」という方も。体が頑固だからでも、努力が足りないからでもありません。ほぐす相手が、痛む場所そのものになっているだけなのです。
自分でできること。それでも戻ってしまう理由
もちろん、日常でできることもあります。30分に一度は立ち上がる、長く同じ姿勢を続けない、こまめに体を動かす。これらは負担を減らす助けになります。ただ、それだけでは「その場しのぎ」で終わってしまうこともあります。原因、つまり神経や自律神経、姿勢の土台が崩れたままだと、気をつけていても、また戻ってくる。自分でできることは”入口”として大切ですが、繰り返す腰痛を変えていくには、その原因から見ていく必要があります。
大事なのは、痛む場所より”原因”
私が時間をかけるのは、痛む腰そのものではなく、その原因です。神経の通り道、自律神経、姿勢や骨盤の土台。ここを整えることに時間をかけるので、腰痛なのに、腰をほとんど触らないこともあります。海沙では、神経・自律神経・姿勢・栄養という体の土台から見ていきます。この状態は、1日や2日でなったものではありません。何年もかけて、少しずつなってきたもの。だから、整えるのにも時間がかかります。派手さはありません。でも、原因から見ていくと、体は少しずつ変わっていく。「座っていると痛い」を年齢のせいで片づけてしまう前に、その痛みが”どこから来ているのか”を、一度見ていきませんか。腰やヘルニアの痛みについては、腰痛専門のページでもくわしくお伝えしています。
よくある質問
Q. 座るときの姿勢に気をつければ、腰痛は楽になりますか。
姿勢を意識するのは、悪いことではありません。ただ、姿勢を保つ力そのものが働きにくいと、気をつけても長く続かないことがあります。姿勢を”気をつける”より”保てる体”に整えると、変化を感じる方もいます(個人差があります)。
Q. 体幹を鍛えれば、腰痛は良くなりますか。
腹筋やウォーキングを続けているのに変わらない、という方は少なくありません。鍛える前に、体を支える神経や姿勢の土台がうまく働いていないと、力が正しく伝わらないことがあります。順番として、まず原因を整えることが先のこともあります。
Q. どのくらいで変わりますか。
一概には言えません。長くかけてなった状態は、整えるのにも時間がかかります。「すぐではないけれど、座っていられる時間が少しずつ延びてきた」という声もあります(個人の感想です)。状態に合わせて見ていきます。
肩こりが揉んでも戻る理由についても、別の記事でお話ししています。